淀川平成病院のチーム医療
淀川平成病院ではどのようなチーム医療が実践されているのか、当院スタッフによる「心に残ったエピソード」を通じてご紹介します。
「もう食べられなくていい」
重度嚥下障害のAさんは、前院で胃管から24時間経腸栄養をされていた患者さんです。
入院時に右半身麻痺も見つかり、排泄や入浴などの日常生活全般が”全介助”で、体力低下も著しく、「もう食べられなくていい。一生経管栄養でいい。家に帰れなくてもいい。しんどいことはしたくない」と、リハビリテーション治療を受ける事に対して消極的でした。
経管栄養を続けながら、少しずつ経口からの食事摂取の訓練をはじめました。経管栄養の時間を調節することで、日中は少しでも食事を摂取出来るように調整しましたが、Aさんは疲労感が強く、体力的にも車椅子へは30分程度しか座れないため、食事量もあまり増えない日々が続いていました。
好きなものを食べて!
リハビリテーション治療を継続する中で、Aさんが車椅子に座れる時間も少しずつ増えました。また、嚥下障害が改善されたことにより、3食経口摂取になりました。
しかし、ミキサー食を食べていたAさんは「美味しくない…」と食が進みません。そこで、栄養士と相談してAさんと好きそうな間食を提供。何とか必要な栄養量を取れるよう工夫しました。
薬についても、Aさんは上手く飲み込むことが出来ず吐き出してしまうため、飲み込みやすい形状の薬に変えたり、ゼリーを使って飲み込む訓練をしたりと、内服嚥下訓練を根気よく行いました。
食べることは生きること
リハビリテーション治療の成果で、自分で体を動かせられるようになってきたAさん。体力もつき、嚥下障害はさらに改善され、今では常食を全量摂取し、薬も飲み込めるようになりました。
常食を食べるようになってからのAさんは、どんどん体力がついていきました。日中は車椅子を自走され、トイレに行き、車椅子からベッドへの移乗も、私たちスタッフがほんの少しお手伝いするだけで出来るようになりました。リハビリテーション訓練にも積極的になり、熱心に歩行訓練に取り組まれています。自宅退院も決まりました。
わたしたちのケア
このエピソードを通じて、私は食事の形態は患者さんの食思に大きく影響することを学びました。また、「食べる」ということが、患者さんの体力向上やQOLの向上だけでなく、意欲向上にも繋がるのだと改めて感じることが出来ました。
回復期病院には、嚥下障害のある患者さんがたくさんいらっしゃいます。嚥下訓練は回復期病院の特性の1つですので、これからも患者さんが意欲的に取り組めるよう、しっかりケアに努めたいと思います。